原爆詩の朗読 作品ガイド

お品書き
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【原爆詩の朗読】峠三吉 『原爆詩集』より「序」ほか

 個性的で魅力的な声で、数々のキャラクターに命を吹き込んできた声優・堀絢子さん。軍医だったお父様を広島の原爆で亡くされた堀さんは「舞台を通して原爆の非人間性を訴えたい」と、反戦の一人芝居『朝ちゃん』を長年上演されてきました。プーク人形劇場でも2013年〜2019年にかけて取り組みましたが、観た後にはしばらく立ち上がれなくなるほどの、胸に迫る舞台は、多くの人の心に非戦の想いを深く刻んでいます。
 その堀さんに、今年は原爆詩の朗読で参加していただきました。気迫あふれる語りで、反戦の思いをお届けします。


出演者・スタッフ

構成・演出・出演/堀 絢子

音響/吉川安志 照明/阿部千賀子 舞台監督/小立哲也 制作/小原美紗

■堀絢子

 俳優。中国・奉天(現 藩陽)生まれ。主な出演作に帝劇ミュージカル「スカーレット」文学座「にごりえ」など。声の出演では、「忍者ハットリくん」「新オバケのQ太郎」「チンプイ」など多数。

被爆死の父思い「反戦」芝居(戦争と私)
戦後70年インタビュー
日本経済新聞:2015年8月7日


Photo Gallery


死にたくなかったのに死なされた人の分まで生きて下さい!

私には父の記憶がありません。

毎年夏になると、母が泣きながら話す父の最期の様子を
私も泣きながら聞いたものでした。

終戦の2ヶ月前に軍医として召集され、被曝し…息絶えた父。

―舞台を通して原爆の非人間性を訴えたい。
父の供養のためにも反戦芝居の活動がしたい―。

堀絢子さんのことばです。

広島の原爆で軍医だったお父様を亡くされた堀絢子さんは、戦争で死なされた人々の弔いのため、長年反戦芝居の活動を続けてこられました。その想いに共感し、2013年〜2019年まで毎年プーク人形劇場の平和企画として、広島原爆投下の翌朝を舞台に描かれた、ひとり芝居『朝ちゃん』に取り組ませていただきました。

小さな身体から想像も出来ないほどの、エネルギー。
そこにはないはずの、あの時の広島の町が、炎が、うめき声をあげた瀕死の人々が、眼前にありありと浮かび上がるようでした。我が子の無残な最期に、ただ抱きしめることしか出来なかった母親の痛みと哀しみがリアルに胸にせまり、終演後しばらく立ち上がれなくなってしまうお客様もいらっしゃいました。

広島の原爆の悲劇を実体験した、絢子さんのお母様。そして、幼いころからその母の姿、ことばを刻みながら生きてきた絢子さん。そんな絢子さんは「死にたくないのに、死なされた人々の分まで、生きてください!」と訴えています。「生きたかった」でも「殺された」でもなく「死にたくないのに死なされた」という言い方がとても印象的で、そこに生きていた人や残された人の無念さが、実感をもって表されているように感じられます。

今回の原爆詩は、絢子さんがご自身で選んでくださいました。その多くは、原爆の苦しみをその身で実体験してきた人々によるもの。絞り出すように刻みつけたことばで紡がれています。
死ぬ苦しみ、生き残っても続く苦しみ、ヒリヒリと痛むほどに強く訴えかけてきますが・・・そこに表現されているのは、怒りや絶望だけではありません。
絶望の淵にあっても、新しい命によりそう人間の美しさ。尊厳。生きるということの尊さ。
そこにあったひとつひとつの人生が、たしかに掛け替えのないものだったという証が、刻まれています。

語り継ぐことをやめてはいけない。刻み続けなければいけない。
これ以上の過ちを繰り返さないために。
そう訴える声が、凜と響きます。


 おとずれてみませんか?

 ◆原爆の図・丸木美術館
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画家の丸木位里・丸木俊夫妻が、共同制作《原爆の図》を、誰でもいつでもここにさえ来れば見ることができるようにーーという思いを込めて建てた美術館です。

戦争や公害など、人間が人間を傷つけ破壊することの愚かさを生涯かけて描き続けた丸木夫妻。その生命への思いを受け継ぎながら、芸術家としてのお二人の活動を紹介しています。


プークに捧ぐる詩

峠三吉の残した詩の中に、プークのことを書いたものが二編残されています。
『にんげんをかえせ 峠三吉全詩集』(1970年 風土社 刊)の 376-377頁にかけて
「プークに捧ぐる詩」「劇団プークに捧ぐる詩」と続けて掲載されています。
残念ながら今は古本屋でしか手に入りませんが、広島平和記念資料館の平和データベースには、全詩集に収録された詩のタイトルが全て記載されており、確かにこの二編のタイトルが確認できます。(掲載ページはこちら)下記にその一部を引用します。

サック サック サック
プークは進む


かぎ回る狼の森を通り
さかさづりの女優の林をぬけ
叫び声もひびかぬ 眞夜中は再びやって来た

戦前から戦中にかけて、弾圧を受けながらも活動をしていた先人たちの姿を垣間見るようです。プーク人形劇場のスタッフも持っていますので、全文を読んでみたいという方、近くにお越しの際にはぜひ劇場へお立ち寄りください。

また、広島市立図書館のホームページはに、峠三吉の資料を集めたWEB資料館が公開されています。プロフィールや年表のほか、ゆかりのスポットの紹介も。〜耳で味わう『原爆詩集』〜と題して、「ひろしま音読の会」の森岡三恵さん、笠間雅一さんによる朗読の音源も公開されています。こちらも覗いてみてくださいね。



助成 :
文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等活性化・ネットワーク強化事業 (地域の中核劇場・音楽堂等活性化))|独立行政法人日本芸術文化振興会

後援 :
NPO 法人日本ウニマ、日本人形劇人協会、NPO法人JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)、公益財団法人 原爆の図丸木美術館、渋谷区、新宿区、新宿区教育委員会、南新宿商店会、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)


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